丹波産 大納言

小豆のなかで、品質や粒の大きさで最上級なのが「大納言小豆」。さらに、その中でも最高級なのが丹波産の「丹波大納言」です。「大納言」の発祥地は、丹波篠山だそうです。亀山藩から幕府、そして御所へ献上され、「大納言(公家)は、殿中で抜刃しても切腹しないですむ」ところから、煮ても腹の割れないこの小豆を大納言と名付けたといわれています。

    丹波大納言
 特 徴
  • 糖分を多く含み、粕が残らず、特に味がよい。
  • 粒の大きさと皮が薄くて食べたとき口に残らない
  • 煮ても皮が腹切れしにく、煮詰めても形がこわれないので、 美しく煮ることができ旨みが逃げづらい。
  • 光沢が美しく、形状が角張っている
  • 虫害が少なく変質しづらいので、長期の保存にも耐える

このおいしさとこの特長は、この地独自の風土が生み出しています。この豆を他の地で栽培しても同じようにはなりません。



むつかしい丹波大納言

しかし、難点は夏の天候や病害虫の影響を受けやすく、収穫が安定しないことです。三百年以上に及ぶ栽培技術の伝承があるといえど、非常に手間がかかり作付け面積を増やす事は難しく、生産量も限られています。また独自の風土、つまり 山に囲まれた丹波の地形は、畑によって日照時間、雨量、高低差など栽培条件が異なり、品質が揃いにくい面があります。炊いたときに煮えが揃いにくく、柔らかさが均一になりにくいのです。勿論それは、できた年でも違います。少しの生育条件の差で、性質の変わりやすい豆なのです。


つまり、菓子職人にとっては、おいしいとわかっていながらも、値段が高く、その年どれだけ手に入るかわからない丹波大納言は、とても使いにくい材料なのです。その上、性質の変化が大きなこの豆を炊くには高度な職人の技が必要で、「丹波が炊けたら一人前」といわれるほどです。

諏訪園の餡づくり

諏訪園では、熟練した職人が生豆から小豆を煮はじめ、餡炊きを行います。粒餡、潰し餡、漉し餡、小倉餡などお菓子に合わせて食感や味を変え、毎日炊きます。おいしい餡をつくるためには、使う豆とその日の気温、湿度によって炊き方を微妙に変えなければなりません。豆を熟知していないとおいしく炊けません。手間のかかる工程の中で、その場面場面に合わせ職人の感ともいえる判断を下しながら、寡黙に作業を進め、その日の出来を反省しては明日の餡炊きに精を込める毎日を繰り返します。誰にも任せることができない作業です。

諏訪園の餡炊き工程

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